2015年01月26日
当事務所のパンフレット類が完成致しました。 右から、ポケットホルダー、知財経営冊子、知財経営診断サービスチラシ、知財経営セミナーチラシ、外国商標登録リーフレット(中央)となります。
特に、知財経営冊子では、全14ページに亘って、「知財経営コンサルティング」や「知財部アウトソーシング」を中心とした知財経営サービスを掲載しております。
また、知財経営診断サービスチラシでは、知財経営の導入をお考えの企業様向けに、知財経営診断書・簡易パテントマップ・特許評価一覧の導入パックについて掲載しております。
業界でも、「知財経営」の名が知られるようになって参りましたが、具体的な知財経営サービスを展開する事務所や会社は未だ非常に少なく、これらのパンフレット類だけでも非常に参考になります。
ご希望の企業様には、これらのパンフレット類を無料にて郵送しますので、資料請求ページ(http://www.ipm-pat.com/contact/)より遠慮なくご請求下さい。
2015年01月19日
MBSちちんぷいぷいTV画像より引用(弊所代表のコメントが紹介されました)
一口サイズの薄皮ギョーザが人気の「丸正(まるしょう)餃子店」(原告:大阪府大東市)が、ギョーザ専門店「餃子の丸正」(被告:大阪府門真市)を相手取り、表示の使用差し止めと6500万円の損害賠償を求めた訴訟で、被告が原告に商標権を譲渡し、4月以降「中華丸正」の店名で営業するなどの内容で大阪地裁で12日に和解が成立しました。
<中小企業が学ぶべきこと>
原告は、商標登録を行っていないことから、不正競争防止法の周知表示混同惹起行為(同法2条1項)に争っていたようです。この周知表示混同惹起行為とは、需要者の間に広く認識されている他人の商品等表示と同一または類似の商品等表示を使用し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為をいいます。つまり、原告が仮に商標登録を行っていなくても、他人が周知表示混同惹起行為を行えば、差し止めや損害賠償を請求できるわけです。
ただ、この周知表示混同惹起行為を認定されるためには、「需要者の間に広く認識されている」といういわゆる周知であることが要件になっています。この周知は裁判所においてケースバイケースで判断されるのですが、そう簡単には認めてもらえるものではありません。今回の丸正餃子事件においても、原告の「丸正餃子店」が果たして周知といえるかはきわめて微妙だったのではないでしょうか。万一、被告が争う姿勢を見せ、原告の名称が周知でないと認定されてしまったとすると、逆に被告から商標権侵害で差し止めを受けて返り討ちにあう危険性も秘めていたように思われます。
一方、商標権は、不正競争防止法のように周知は要件とされておらず、商標が同一または類似、かつ商品・役務が同一または類似であれば権利侵害が成立するため、その意味では他社に対して差し止めや損賠賠償を請求し易い権利となっています。
もし、原告が当初から商標登録しておけば、不正競争防止法と商標権の2本立ての武器を持つことになり、訴訟に至るまでもなく決着が付いていたのではないでしょうか。そうれであれば原告は、訴訟費用と商標権譲渡費用を負担することもなく、無用な心労をかけることもなかったと思われます(訴訟は、原告及び被告双方にとって心身ともに疲れるものです)。このため、中小企業はもとより、個人事業にとっても、商品やサービスを展開する上では商標登録は必要不可欠なものといえるでしょう。
<付言>今回、被告から原告に対して商標権が譲渡されることで、一見、被告が譲歩する形で決着がつきましたが、その譲渡費用は有償だったようです。この譲渡費用は非公開なため確かなことは言えないのですが、その譲渡費用が高額なものであるとすれば、両者痛み分けの決着だった可能性もあります。
(文責:小林正樹)
2015年01月13日
※米国テスラー社のEVの社内画像(テスラー社HPの資料用画像より引用)中央のタブレット端末のような操作パネルが近未来の車を感じさせます。
トヨタ自動車が単独で保有する燃料電池車(FCV)関連の特許すべての無償提供を6日発表しました。
FCVは、水素と酸素を反応させて水を作り、そのときに余る電子を電気エネルギーとして走行します。純粋なバッテリー式の電気自動車(EV)とは別のジャンルの次世代自動車として注目され、日本ではトヨタ自動車が中心となって進めているようです。かつてのVHSv.sベータ、ブルーレイv.sHDDVD、プラズマv.s液晶のように、世界中の国や企業を巻き込みながらFCV陣営とEV陣営(米国ではテスラー社が有名)に分かれてせめぎあいの様相を呈しています。おそらく、トヨタ自動車としては、関連特許を無償提供することにより各自動車メーカやインフラ関連会社などの他社を巻き込むことでFCVの市場創造を拡大していきたい狙いあるものと思われます。ただ、各社の思惑はさまざまのようですので、トヨタの狙い通りに進むかどうかが今後注目されます。
さて、中小企業にとっては、このような大きな話はあまり関係ないと思われるかもしれませんが、一つ勉強になることがあります。今回のトヨタ自動車のように関連特許を提供して新たな市場を創造する戦略を一般に「オープン戦略」と呼びます。特許といえば、特許を取得した会社が独占的に製造・販売する「独占戦略」のイメージが強いですが、最近ではこのようなオープン戦略が中小企業にとっても注目されています。新たな市場を創造する際、一社だけではなかなか市場が成長せず、結局、その市場が消滅してしまう虞があります。ここで関連特許をあえて他社に提供することにより、他社とともにまず市場を創造して、その上で各社が競争していくわけです。
このようなオープン戦略は何も欧米だけでもなく日本でも成功している事例は数多くあります。その中でも代表的な事例の一つに日清(当時、安藤百福社長)のカップヌードルが挙げられます。カップヌードルを開発した日清は数多くの特許を保有しており、最初は市場を独占する狙いがあったようです。しかしながら、袋めんが浸透している市場において割高なカップめんはなかなか消費者に受け入れられませんでした。さらに追い打ちをかけるように特許を使用しない粗悪品のカップめんが出現し始め、消費者には「やっぱりカップめんは駄目だな」という空気が流れました。そこで、日清は特許を他社に提供することにより各社が良質なカップめんを作れるようにし、他社とともにカップめんの一大市場を創造していき、その中で各社が競争していきました(結局、日清がトップを走ることになるのも安藤百福氏は計算づくだったのではないでしょうか)
このように中小企業にとっても、特許による独占戦略だけではなく、オープン戦略も重要であることはどこか念頭に置いておきたいところですね。
なお、完全に小職の意見ですが、EVについて、遠くない将来、ディアゴスティーニあたりから「週刊・電気自動車」なる組立キットが販売されるかも、と考えています(ちなみに、同社から今年1月に「週刊・3Dプリンタ」が発売されました)。2~3人乗りの超小型、バッテリーも家庭で充電でき、車体はカーボン製の軽量なもので、最高走行距離10~20kmほどの買い物やちょい使いに利用できるものです(価格は30万円ぐらい?)。電気自動車は組み合わせの技術ですので、安全面さえクリアすれば十分可能ではないでしょうか。もしかすると、現在の各自動車メーカは、このように誰でも自動車を安く簡単に作れる未来を恐れているかも!?
(文責:小林正樹)